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日本人の栄養と健康の課題 ~脂質と脂肪酸〜

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脂質

体内の油っぽい物質の総称が脂質です。中性脂肪、コレステロール、リン脂質などは、すべてこの「脂質」という大きなグループに含まれます。
脂肪酸は、中性脂肪やリン脂質を構成する基本となる「部品」です。

中性脂肪は、体内に最も多く存在する脂質で、活動のためのエネルギー貯蔵庫としての役割を果たします。体温保持や衝撃吸収のクッションにもなります。過剰になると皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積し、肥満や高中性脂肪血症を引き起こし、心血管疾患のリスクを高めます。

コレステロールは、細胞膜の重要な構成成分で、性ホルモン(エストロゲン、テストステロンなど)や副腎皮質ホルモン、ビタミンD、消化吸収を助ける胆汁酸の原料となります。エネルギー源としてはほとんど使われません。血液中でLDL(悪玉)とHDL(善玉)というタンパク質と結合して運ばれ、LDLコレステロールが増えすぎると動脈硬化の最大の危険因子となります。

脂肪酸の役割は、中性脂肪の合成、エネルギー源、細胞膜の柔軟性維持などです。飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸(オメガ9)、多価不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6)に分類され、種類によって健康への影響(動脈硬化、炎症など)が大きく異なります。オメガ3とオメガ6は、体内で合成できない必須脂肪酸です。

脂肪酸

生活習慣病の予防において、重要視されている脂肪酸の「質」と「バランス」について、日本人の摂取状況と健康への影響は以下の通りです。

飽和脂肪酸

近年の「国民健康・栄養調査報告」の結果から計算すると、多くの年齢層で、摂取目標量の上限を超えている、または超える人が増加傾向にあることが認められています。飽和脂肪酸の過剰摂取は、動脈硬化を進行させる主要な要因である、血中のLDL(悪玉)コレステロールを増加させ、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患のリスクを著しく高めます。肉の脂身、バター、生クリーム、加工食品などに含まれる飽和脂肪酸の摂取量を減らすことが、生活習慣病予防の基本となります。

一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)

日本人成人が食品から最も多く摂取している脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸であるという調査結果があります。オレイン酸が多い菜種油が家庭用・業務用油として広く利用されていることが一因とされます。一価不飽和脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがあると同時に、HDL(善玉)コレステロールを維持する働きがあるため、心血管疾患のリスクを低減する効果が期待されています。

多価不飽和脂肪酸

体内で合成できない必須脂肪酸であるオメガ3系とオメガ6系があり、そのバランスが特に重要です。

  • オメガ3系脂肪酸 (n-3系)

多くの日本人が目安量を満たしていません。魚介類の摂取量の減少が大きな原因です。炎症の抑制、血栓の予防(血液サラサラ効果)、中性脂肪の低下、動脈硬化の予防、脳機能の維持に重要です。不足すると心血管疾患や炎症性疾患のリスクが高まります。

  • オメガ6系脂肪酸 (n-6系)

日本の食生活では、大豆油やコーン油などの使用が多く、摂取量は比較的足りています。必須脂肪酸として必要な一方、過剰に摂取すると体内で炎症を促進する物質を生成しやすくなり、慢性炎症やアレルギーのリスクを高める可能性が指摘されています。

オメガ3の相対的な不足とオメガ6の相対的過剰が、生活習慣病や炎症性疾患のリスク要因として最も大きな課題の一つとなっています。

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