「健康診断で血糖値が高めと言われた」
「HbA1cの数値が気になっている」
そんな経験はありませんか?糖尿病は、インスリンの分泌や働きに問題が生じ、血糖値が慢性的に高くなる病気です。実は、血糖値が高い状態が続くと、体内で「活性酸素」が増え、細胞や血管に負担をかけることがわかっています。この状態に関係するのが、酸化ストレスです。高血糖と酸化ストレスの関係、糖尿病の合併症につながる仕組み、そして体を守るために大切な食事・栄養・生活習慣について解説します。
なぜ高血糖で「酸化ストレス」が増えるの?
私たちの体は、食事から得たブドウ糖をエネルギーとして利用しています。その過程では、細胞内のミトコンドリアなどで活性酸素が発生します。活性酸素は通常の生命活動でも生じる物質ですが、過剰になると細胞の脂質やタンパク質、DNAなどに影響を与えることがあります。このように、活性酸素の発生と体の抗酸化機能のバランスが崩れた状態を「酸化ストレス」と呼びます。高血糖が続くと、主に次のような仕組みを通じて酸化ストレスが増えると考えられています。
① ミトコンドリアでの活性酸素の増加
ミトコンドリアは、細胞が利用するエネルギーを作り出す重要な器官です。高血糖の状態では、細胞の種類や代謝状態によって、ミトコンドリアの電子伝達系などで活性酸素の産生が増えることがあります。こうした変化は、細胞の機能障害に関わると考えられています。
② 糖化によるAGEsの形成
血液中の糖が多い状態では、糖がタンパク質などと反応する「糖化」が進みやすくなります。糖化反応の過程で生じる物質の一部が、AGEs(終末糖化産物)です。AGEsの一部は細胞の受容体であるRAGE(終末糖化産物受容体)などに作用し、炎症反応や活性酸素の産生に関係します。
つまり、高血糖・糖化・酸化ストレスは互いに影響し合い、細胞や血管の健康に関わっているのです。
酸化ストレスが関係する糖尿病の2つの問題
① インスリンの分泌と働きへの影響
インスリンは、血糖値を下げる働きを持つホルモンです。膵臓のβ細胞から分泌され、筋肉や脂肪組織などでブドウ糖の取り込みを促します。基礎研究では、過剰な酸化ストレスが膵臓のβ細胞の機能に影響することが示されています。また、筋肉や肝臓などでインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」にも、酸化ストレスや慢性炎症が関係すると考えられています。ただし、糖尿病の発症には遺伝的要因、肥満、身体活動、食生活なども関わっており、酸化ストレスだけが原因ではありません。
② 血管や神経への影響と合併症
糖尿病で特に注意したいのが、長期間の高血糖によって生じる合併症です。代表的なものには、次のような病気があります。
- 糖尿病網膜症: 目の網膜の血管に障害が生じ、視力に影響する
- 糖尿病性腎症: 腎臓の機能が徐々に低下する
- 糖尿病性神経障害: 手足のしびれや感覚の異常などが起こる
これらは糖尿病の三大合併症として知られています。さらに、糖尿病は心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患のリスクも高めます。酸化ストレスは血管内皮の機能障害や炎症などに関与しますが、合併症の進行には高血糖、血圧、脂質異常など複数の要因が影響します。そのため、血糖値だけでなく、血圧や脂質も含めた総合的な管理が大切です。
体に備わる「抗酸化システム」とミネラルの役割
私たちの体には、活性酸素による影響を抑えるための仕組みが備わっています。その中心となるのが、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)やグルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素です。これらの酵素の働きには、特定の必須ミネラルが関わっています。
抗酸化酵素を支える主なミネラル
- 亜鉛・銅:細胞質などで働くCu/Zn-SODの構成成分です。亜鉛はインスリンの貯蔵や膵臓のβ細胞の機能にも関わっています。
- マンガン:ミトコンドリア内で働くMn-SODの構成成分です。ミトコンドリアで発生するスーパーオキシドを処理する働きに関わります。
- セレン:グルタチオンペルオキシダーゼなど、一部の抗酸化酵素を構成する重要な微量元素です。過酸化水素や脂質過酸化物の処理に関わります。
これらのミネラルを不足させないことは、体の正常な機能を維持するうえで大切です。ただし、抗酸化酵素に必要なミネラルだからといって、大量に摂取すれば抗酸化力が高まるわけではありません。また、ミネラルのサプリメントによって糖尿病の合併症を予防できるという十分な科学的根拠も確立していません。
糖尿病と酸化ストレスを意識した4つの健康習慣
① 糖質は量と質のバランスを考える
血糖管理の基本は、食事全体のバランスを整えることです。糖分の多い清涼飲料水や菓子類の摂りすぎを控え、野菜、豆類、全粒穀物など食物繊維を含む食品を取り入れましょう。白米やパンも、食べる量や組み合わせを工夫することが大切です。糖尿病の治療中は、薬の種類や血糖状態によって適切な食事が異なるため、医師や管理栄養士と相談しましょう。
② ミネラルと抗酸化栄養素を食事から摂る
抗酸化酵素の正常な働きを支えるためにも、さまざまな食品をバランスよく食べることが重要です。
- 豆類・ナッツ類: マグネシウムや亜鉛など
- 魚介類: 亜鉛やセレンなど
- 野菜・果物: ビタミンCやポリフェノールなど
- 穀類・豆類: マンガンなど
植物性食品には、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなど、さまざまな成分が含まれています。特定の食品や成分だけに頼らず、多様な食材を組み合わせることを意識しましょう。
③ 適度な運動と十分な睡眠
ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングは、インスリンの働きを改善し、血糖管理に役立ちます。また、睡眠不足や不規則な生活は糖代謝に影響することがあります。無理のない範囲で体を動かし、十分な睡眠時間を確保することが大切です。糖尿病の治療中で、低血糖のリスクがある薬を使用している場合などは、運動について医療者に確認しましょう。
④ 血糖値とHbA1cを定期的に確認する
糖尿病は自覚症状が少ないまま進行する場合があります。健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合は、放置せず医療機関で相談しましょう。糖尿病と診断されている場合は、血糖管理に加え、眼・腎臓・神経などの合併症を定期的に確認することも重要です。
高血糖と酸化ストレスを正しく理解し、毎日の健康づくりへ
糖尿病と酸化ストレスには、密接な関係があります。高血糖によって活性酸素の産生や糖化反応が進むことは、細胞や血管の機能障害に関わると考えられています。一方で、糖尿病の予防や管理において最も重要なのは、適切な血糖管理と、食事・運動・睡眠などの生活習慣を整えることです。ミネラルは抗酸化酵素や代謝の正常な働きを支える大切な栄養素ですが、多く摂るほどよいものではありません。
血糖値の管理を基本に、必要な栄養素をバランスよく摂ること。
それが、将来の健康を守るための大切な一歩です。鎌倉ナチュラルでは、自然のチカラを暮らしに取り入れながら、食事・栄養・セルフケアを通じた健康づくりを応援しています。
※本記事は一般的な健康情報を目的としています。糖尿病の診断・治療・予防効果を保証するものではありません。糖尿病の治療中の方や検査値に異常がある方は、医師などの医療専門職にご相談ください。
鎌倉ナチュラル 店主