「最近、目がかすむことが増えた」
「以前より光がまぶしく感じる」
「眼鏡をかけても、なんとなく見えにくい」
そんな目の変化を感じたことはありませんか?
年齢とともに増えてくる目の病気の一つが、白内障です。白内障は、目の中でレンズの役割をしている「水晶体」が濁り、視界がかすんだり、光がまぶしく感じられたりする病気です。その発症や進行に関わる要因の一つとして研究されているのが、酸化ストレスです。実は、私たちの体には酸化ストレスから細胞を守る仕組みがあり、その働きには亜鉛やセレンなどのミネラルも関係しています。白内障と酸化ストレスの関係、そして目の健康を支える栄養素について、わかりやすくご紹介します。
白内障と「酸化ストレス」の関係
私たちの目の中にある水晶体は、主に水分とタンパク質からできており、健康な状態では透明性が保たれています。しかし、加齢などの影響によって水晶体のタンパク質が変化すると、少しずつ透明性が失われ、白内障につながります。この変化に関係していると考えられているのが、酸化ストレスです。酸化ストレスとは、体内で発生する活性酸素などによる酸化作用と、それに対抗する抗酸化システムとのバランスが崩れた状態を指します。水晶体は長年にわたり光や酸素の影響を受けるため、酸化によるダメージが蓄積することがあります。
特に、次のような要因は白内障のリスクと関係しています。
- 加齢: 水晶体のタンパク質が長い年月をかけて変化する
- 紫外線: 長期間の紫外線曝露が水晶体に影響を与える
- 喫煙: 酸化ストレスを増やし、白内障のリスクを高める
- 糖尿病: 血糖値の影響などによって白内障が起こりやすくなる
白内障には、こうしたさまざまな要因が関係しています。つまり、酸化ストレスは重要な要因の一つですが、白内障の原因がすべて酸化ストレスというわけではありません。
目の健康を支える「抗酸化酵素」とミネラル
私たちの体には、酸化ストレスから細胞を守るための仕組みが備わっています。その一つが、体内で働く抗酸化酵素です。代表的なものには、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)やグルタチオンペルオキシダーゼなどがあります。これらの酵素の働きを支える栄養素として、亜鉛やセレンなどのミネラルが知られています。
亜鉛|抗酸化酵素の働きを支えるミネラル
亜鉛は、体内のさまざまな酵素やタンパク質の構造・機能を支える必須ミネラルです。抗酸化酵素の一つである「銅・亜鉛SOD」にも含まれ、正常な酵素機能を維持するために必要です。
主な食品: 牡蠣、牛肉、豚肉、卵、ナッツ類など
ただし、亜鉛を多く摂取することで白内障を予防できると証明されているわけではありません。
セレン|酸化ストレスへの防御に関わるミネラル
セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼなど、一部の抗酸化酵素を構成する必須ミネラルです。これらの酵素は、過酸化水素や脂質の過酸化物を処理する働きに関係しています。
主な食品: 魚介類、肉類、卵、穀類など
日本では通常の食生活でセレン不足が起こることは比較的まれで、必要以上に摂取することはおすすめできません。
ミネラルは「多ければよい」わけではない
亜鉛やセレンは、抗酸化システムを正常に働かせるために必要な栄養素です。しかし、不足を防ぐことと、たくさん摂取することは別です。特にサプリメントなどによる過剰摂取には注意が必要です。まずは、日々の食事から必要な栄養素をバランスよく摂ることを心がけましょう。
目の健康のために意識したい栄養素
目の健康を考えるうえでは、ミネラルだけでなく、さまざまな栄養素を組み合わせて摂ることが大切です。
ビタミンC
水溶性の抗酸化ビタミンで、水晶体にも存在しています。
主な食品:ブロッコリー、パプリカ、キウイ、柑橘類など
ビタミンE
細胞膜などに含まれる脂質の酸化を抑える働きがあります。
主な食品:アーモンド、植物油、かぼちゃなど
ルテイン・ゼアキサンチン
緑黄色野菜などに含まれるカロテノイドで、目の黄斑部に多く存在する成分です。
主な食品:ほうれん草、小松菜、ケール、卵黄など
これらの栄養素は、体や目の健康維持に関係しています。ただし、特定の栄養素を積極的に摂るだけで、白内障の発症や進行を確実に防げるという十分な証拠はありません。大切なのは、一つの成分に頼るのではなく、多様な食品を組み合わせることです。
今日から始めたい、目をいたわる4つの習慣
白内障のリスクを考えるうえでは、食事に加えて、日常生活の習慣も重要です。
① 紫外線から目を守る
外出時には、UVカット機能のあるサングラスや帽子を活用しましょう。長期間にわたる紫外線曝露を減らすことは、目の健康を守るために役立ちます。
② 禁煙を心がける
喫煙は白内障のリスクを高めることが知られています。禁煙は、目だけでなく全身の健康にとっても大切な取り組みです。
③ バランスのよい食事を続ける
野菜、果物、魚、肉、卵、大豆製品、穀類などを組み合わせ、さまざまな栄養素を摂ることを心がけましょう。亜鉛やセレンを含む食品も、毎日の食事の中で無理なく取り入れることができます。
④ 定期的に目の状態を確認する
白内障はゆっくり進行することが多く、初期には自覚症状が目立たない場合もあります。見え方に変化を感じたら、眼科で検査を受けることが大切です。糖尿病などの持病がある方は、主治医の指示に従って定期的に目の状態を確認しましょう。
白内障は食事だけで改善できる?
ここで知っておきたいことがあります。それは、一度濁ってしまった水晶体を、食事やサプリメントによって元の透明な状態に戻すことはできないということです。また、現時点では、特定のミネラルや抗酸化サプリメントによって白内障の進行を確実に抑えられるという十分な臨床的証拠もありません。白内障によって日常生活に支障が生じる場合には、眼科で手術を含めた治療を検討します。栄養や生活習慣の見直しは、あくまでも目を含めた全身の健康を支える取り組みとして考えることが大切です。
目の健康は、毎日の小さな積み重ねから
白内障は、加齢を中心に、紫外線や喫煙、糖尿病など、さまざまな要因が関係する病気です。その背景にある仕組みの一つとして、酸化ストレスが研究されています。そして、私たちの体に備わっている抗酸化システムには、亜鉛やセレンなどのミネラルも関わっています。だからこそ、特定の栄養素だけに頼るのではなく、バランスのよい食事や紫外線対策、禁煙など、毎日の生活習慣を大切にしたいですね。
目の健康を守ることは、これからの毎日を心地よく過ごすための大切な習慣です
なお、目のかすみやまぶしさには白内障以外の病気が隠れていることもあります。症状がある場合は眼科医に相談しましょう。突然の視力低下や強い目の痛みがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、病気の診断・治療を目的とするものではありません。
鎌倉ナチュラル 店主